KNHS ~春日部ニューハーフ物語~ 第1話

サい玉県の端っこの端、スプリングデイクラブタウン(SDCT)って街を知ってるかい?
あまり有名なのがないもんだからアニメのキャラクターと藤の木をゴリ押ししてる。
都会でもないし田舎でもないけど結構住みやすいんだ。
俺はそこで生まれ育った。
それなりの高校で楽しくやって、今は街で結構有名な風俗店で日々奮闘中って訳。
俺の話をもう少し続けさせてもらう。
こう見えて…つってもあんたには俺の姿は見えないか?
まあ、こんな俺だけど頼ってくる奴らがいる。
トラブルシューターって言うと大げさかな?
誰が言い出したのか、便利屋のユウヤって言えばそれなりに知られてるんだぜ。
要は、昔っから頼まれると断れないのが俺の性分って事。
人生で一度だってキラキラ光った事なんてないけど、他人だったら輝かせた事もある。
さしずめ舞台の裏方、黒子役がこの俺。
さーて、俺の話はここら辺にして。
物語は俺の勤めていた風俗店から始まる。
ギッラギラの太陽がこんがりバーベキューみたいに俺の体を焼いちゃいそうな暑い日だった。
額に流れる汗をシャツでごしごし拭きながら階段を上って出社。
ドアを開けて、下っ端の俺は元気良く挨拶をする。
『おはようございまぁ~っす』
一直線に自分のデスクへ向かった。
席に着くや否や、一息つきたいのにお呼びがかかる。
トホホ、人気者は辛いね。
俺を呼んだのは社長だった。
いつもは親しみやすい社長だけど、そん時はちょっと違った。
なんて言うのか…暗い訳でもないけど俺を呼ぶ声が違ったんだ。
俺は社長の席にすぐに向かった。
『富士田、お前に頼みがある』
ほーら来た来た。みんな俺を頼ってくる。
俺ってそんなに暇に見えるんだろうか?
あっそうそう、言い忘れてたけど俺のフルネームは富士田ユウヤ。
結構いい名前だろ?まあ、俺の名前の話はもういいか?
で、社長が言うんだ。
この俺に。
『お前、男と経験あるか?』
わかってると思うけど、社長の言う経験はアッチの経験。
もちろん俺は正真正銘のノンケ。
ノンケってのは、その業界では普通に生まれた性別のまま、違う性別の人が恋愛だったり性の対象の人の事らしい。偉そうに講釈たれてる俺だけど、俺も色々調べたからね。
もちろん俺は社長に言った。
『いや、ないッスよ。』
女性経験も乏しい俺は疑われてたのか?なんせ、奥手なもんだから入社当時はホモじゃないかって噂が出たくらい自慢じゃないけど女っ気がないのが俺自身の悩みの種。
社長はその答えを待ってたのか、知ってたのかさらに俺に言った。
『よしっ。ちょうど良い。じゃあ、お前ニューハーフの店でいっちょ経験して来い。』
えっ?えっ?えっ?
少々の事じゃ驚かないけど、いくら便利屋でも限度がある。
出来る出来ないとは別にしたくないだってもちろんある。
だから即決って思ったけど、でもちゃーんとじっくり考えたんだ。
何事も焦りは禁物だからね。
こんな経験そうそう自分じゃしてみようなんて思わない。
これはある意味俺自身のレベルアップに繋がるってね。
なぁ、あんたもそう思うだろ?
だから俺は言った。
『是非、経験させて頂きますっ!!』
続く。

KNHS ~春日部ニューハーフ物語~ プロローグ

プロローグ

人生で最大に変わった事?俺ならこう答えるよ。
27歳の夏。
たった一人、たった一度の出会いが俺自身をぶっ壊したってね。
当時の俺は考えた事もなかった。
心と体がはぐれちまって同じじゃないなんてさ。
色んなモノがコロコロと変わって行くけど変わらないもんもある。
変わる方がイイのか、変わらないのがイイのかなんて今の俺にもわからない。
でも、考えるようになったんだ。
今は、俺は。
あいつに出会ってから。

なぁ、そこのあんた。
考えて欲しいんだ。
あんたが男なら、もし自分の体だけが女だったらってね。
これは自分の心と体があべこべになっちまった奴と俺自身の話。
なぁ、ニューハーフって知ってるかい?
あんたももう、考えてる筈だ。
性同一性障害ってのを。

俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~epilogue

~エピローグ~

もう春が芽吹き始めている。
太陽と鬼ごっこもたまには悪くない。
今日は休みだ。月とはまた夜にでも会えばいい。
柔らかな光が俺を包み込んでくれる。
街は暖かくなるにつれ冬とは違った様相を見せてくれる。
俺は【痴女りたい】での一件をあらためて思い返していた。
依頼主である星社長にはすでに先程、レポートにまとめて報告を終えた。
俺はパソコンのモニター見つめる。
夢の女がそこには居た。
ドキドキメモリアルのりょうちゃん。
いくつかの操作をこなしてそのデスクトップ画像を消去する。
名残惜しさはない、と言えば嘘になる。
苦い思い出が甘くなる事はない。
そう、経験がいつも俺にそう告げる。
俺は新たな女の写真をデスクトップ画像に設定する。
その女は赤いTバックをはいていた。
顔はモザイクで良くわからないが、魅力的に見えた。
―フッ、今考えるとあの店の修正は惨い―
それでもいい。
俺は妙に納得をしてパソコンの電源を落とした。
丘嶋にはなんとなく、後日ブラックコーヒーをご馳走した。
糖尿の疑いがあるからだ。
社長への借りも、依頼者からの信頼は守れたつもりだ。
ふと携帯を見る。
俺はそれを手に取る。
久しぶりの番号を呼び出しプッシュする。

『もしもし、お袋か?俺…だけど。今度連休取れたら帰るから。』

俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~最終話

歓喜。
歓喜が全身を駆け巡る。
体中の血肉が沸き踊るようだった。
りょう様のお許しが出たのだ。
りょう様の指先のスピードは最高潮にまで達していた。
俺のニューヨークがりょう様と言うテロに合い、米軍出動までは時間の問題だった。
激しい手、指先の動き。
俺のNYはりょう様のTKテクニックで16ビートに達していた。
否!!
32ビートすらも上回っていただろう。
尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ!!
尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ!!
尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ尻穴ズポ指ピク亀頭シャッ!!
『もう、もお、いぎっいぎfdsdjfkrさgf』
『いぎっ!!いぎそうです!!』
りょう様も俺を発射(イ)かそうとしてくれているのだろうか?
加速は増すばかり。
しかし運命を握るりょう様はいたずらっぽく笑った。ように見えてこう言い放った。
『ふふふっ。やっぱり発射(イ)っちゃ駄目ぇ』
不可。
理解不可。
何故。
理解不可。
不可思議。
摩訶不思議。
―何故?何故?何故?何故?何故?―
『もう、もうぅうううう』
音速。
いや、光速ほどに感じられるりょう様の手の動き。
発射(イ)かせないのなら何故こんな動きを?
『駄目ですっ。駄目ですっうううわぁあらrふぁskrjfごいsdfjvglksdjfhljwhdekuahwbesfdakjsdfnaskjdfhnasjkd;fasdkfspdfks;ldfcmわぁあああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーー』
『駄目っていってるでしょ』
『いぎっいぎっいぎっまっす。いぎます。出るぅ。出るくううううううううううううううううううううわぁあああああああああああああああああああ出るうううううううううううううううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
俺は遂に果てた。

 

どのくらいの時が経ったのか?
静寂の中、聞こえるのは我に返った俺の荒い息遣いだけだった。
―りょう様は?りょう様はどこに?―
上半身を起こすとりょう様は変わらずそこに居た。
俺はりょう様に言った。
『申し訳ありません。勝手に発射(イ)って出してしまいましたぁ!!』
天使の微笑みでりょう様は俺に言った。
『何が出たの?見てみなよ』
りょう様は俺のNYへと視線を落とした。
俺も自身のNYを見る。
そこには信じられない光景があった。
だらしなくうなだれるNY。
もう誰も守る事なんて出来やしない生用心棒。
『―これは…?―』
思わず心の声が漏れた。
りょう様が言った。
『ドライオーガズム的なもんじゃない?』
俺は急に恥ずかしくなって、照れ笑いをした。
りょう様は最後に教えてくれた。
俺の秘密を。
『丘嶋くんって、Mの才能あるよ。』
俺はもう一度笑ってりょう様に答えた。
『そうでゲスか?』

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俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~第二十一話

混乱と快楽、非日常の入り口を開かれた俺の脳は忘却へ。
りょうが強い口調で俺に激を飛ばす。
『情けない事言ってんじゃないよ!!誰が勝手に発射(い)って良いって言った?』
駄目だ、最早彼女は完全に悪鬼と成り果てた。
俺は必死に、最後の力を振り絞り抵抗を試みる。
『ひへぇぇええええええ。もう、もう駄目ですぅううううう』
俺の言葉は虚しく空を舞う。
なおも高速の手は両手も動きを止めない。
止めないどころか速度が増しているようにも感じる。
尻穴ズポリ、指ピクピク、亀頭もシャアー♪
尻穴ズポリ、指ピクピク、亀頭もシャアー♪
尻穴ズポリ、指ピクピク、亀頭もシャアー♪
その動きは小室哲也のように目まぐるしく動く。
NYならぬTK。
俺と言うキーボードを巧みに操り、音を無理やり奏でさせる。
『ほらほら気持ちいいんでしょ!返事は!!』
さらなる強い口調。
りょうは最早怒鳴っているようだった。
『いいです。いいです。発射(イ)かせて下さい。発射(イ)かせて下さい。』
もう、従うしかない。
俺は奴隷だ。
底辺だ。
負け犬だ。
りょうが怒鳴る。
『駄目っつってんだろ!!!』
『ほら名前言ってみな、名前!!』
『自分の名前叫んでみろよ!!』
強すぎる口調に俺はふと、ほんの一瞬だが我に返える。
『おがっおごっ』
『おがっ、おがっ、丘、丘、丘嶋でゲスぅううううううううう。』
もう大丈夫だ。
可笑しくなりそうな頭を順番に整理する。
―どうしてこうなった?どうしてこんな事に―
りょうがそれを分かったかのように攻める手を緩める。
緩急をつける様に、優しく言う。
『ほらぁ、どう気持ちいいでしょ?』
百七十キロの剛速球の後に九十キロのスローボールじゃさすがスラッガーも空振りしちまう。
俺は手堅くバントの構えで様子を伺った。
『そろそろ発射(イ)っていいでしょうか?』
顔色など伺う暇は無い。
そもそも一度も目を開けていない。
りょうは言う。
『駄目よ。まだ発射(イ)かせないんだから』
そしてまた速度を速める。ここにネズミ捕りは居ない。誰も彼女を取り締まれない。
俺は言う。
『いがっ、発射(イ)かせて下さい。』
増すスピード。
言うりょう。
『まだよ。まだ駄目。』
懇願。
俺は再度言う。
『いがっ、発射(イ)かせて下さい。』
りょうは答える。求めていない言葉を。
『まだよ。まだ駄目。』
『いがっ、発射(イ)かせて下さい。』
『まだよ。まだ駄目。』
増すスピード。
『いがっ、発射(イ)かせて下さい。』
『まだよ。まだ駄目。』
『いがっ、発射(イ)かせて下さい。』
さらに激しく。
『まだよ。まだ駄目。』
『いがっ、いがっ発射(イ)かせて下さい。』
増すスピード。
『お願いしまぅううううううう。イガっいがっいがぜでぇええええええええええ』
果てそうだった。
俺は死ぬのか?
そう考えたその時だった。
『仕方ないなぁ、じゃぁ発射(イ)っていいよ』
耳を疑った。
この戦いの終わりはもう近い・・・

to be continued

俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~第二十話

りょうは手に取ったローションを何やらタッパーウェアのような容器の中でお湯と混ぜ始めた。
ローションの滑らかさが彼女の指で疾走する。
生き物のようにネバネバと、持ち上げた手から落ちる。
『はうぅううううううう』
何が起こったのか、一瞬分からなかった。
事もあろうに、りょうは俺のNYへローションを垂らしたのだ。
そして高速で動かされる指先。
胴体から頭へ、そしてまた胴体へ。
頭、胴体、頭、頭、頭、胴体。
りょうが問う。
『どぉう?気持ちいい?』
胴体、頭、頭、頭、頭頂部、そして頭。
『気持ちいいですっ!気持ちいいですぅううううう!』
攻めはすでに生用心棒だけでなく、全身に広がりを見せ始めている。
このままここで俺は殺られるのか?
果てるのか?
彼女の攻めが最高潮かと思われた時、またも指は舌は動きを止める。
りょうがあの無邪気な笑顔を見せる。
『じゃあ、シャワー浴びよっか?』
―えぇぇえーーーー!!―
―ちょっと待って下さいよ!ちょっと待って下さいよ!―
―これで終わりですか?こんだけで終わりですか?―
俺の幻想はすぐに打ち砕かれることになる。
りょうはTバックを脱ぐとシャワールームに入った。
そして彼女は武器をローションからボディーソープへと持ち替えた。
俺への拷問は変わらずに続いた。
驚いた事に、いつの間にか浴槽には湯が張られていた。
ボディーソープで俺の体を念入りに弄びながら洗う彼女。
シャワーで体を洗い流すのも早々に、黒く濁った液体を俺に差し出す。
一息入れろという意味なのだろうか?
プラスティックのコップに入った液体はまさしくアメリカンコーヒーのそれと一緒で黒い。
俺は毒を食らわば皿までとばかりにそのコップを受け取る。
そっと口元に近づける。
この匂い。
遠いあの日を思い出す。
大学生のあの頃、いや大学にはそもそも行っていない。
高校生のあの頃、そもそも高校も中退だ。
もっと前、年端も行かないガキの頃だ。
―そうか!これはイソジンだ!―
俺はイソジンを口に含みうがいをした。
プロフェッショナルにはプロフェッショナルの流儀が、ルールがある。
それだけはおかしちゃいけない領域だ。
いやテリトリーだ。
言い方的にはそちらの方が格好良い。
彼女に空になったコップを渡すと彼女もうがいをした。
―やはり彼女がプロフェッショナルであると言う事実は動じない―
彼女は簡単に自分の体を綺麗にすると浴槽へと浸かった。
なみなみと入ったお湯が浴槽からお湯があふれ出す。

そう言えば…
昔、アルキメデスは王に黄金で作られた王冠が真に黄金だけで作られたかどうかを確かめろと命じたらしい。アルキメデスは考えた。もちろん冠を溶かしたりすれば簡単に分かることだが、素晴らしい細工の施された王冠を壊す訳にはいかない。アルキメデスは考え疲れ果てた。そして疲れを取ろうと湯に浸かった。自分が入る事によって溢れ出す湯を見て、王冠が純金であるかどうかを調べる方法を発見した。嬉しさのあまり、浴槽から飛び出して外に出てこう叫んだそうだ。
『ヘウレーカ!ヘウレーカ!』と。
昔のギリシャ語で、見つけたや発見したと言う意味らしい。

余談が過ぎた。
はっきり言おう。長すぎた。
風呂場で出来事は割愛するが、俺は風呂場でフェラを数秒された。
思い返せば、後にも先にもりょうにフェラをされたのはその数秒だけだった。
結局それが俺と彼女の関係を示していたのかも知れない。
俺とりょうはシャワールームを出るとベッドへと移動した。

続く。

俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~第十九話

彼女は俺を弄んだ。
いや、俺と呼ぶべきか?
理性とは裏腹に蠢く俺自身のケモノ。
生用心棒。
略してNY。
NYを尻で、時にはしゃがみこんで胸で。
そして手で。
手は休まる事無く必ずどこかに触れる。
ミスタービーンズを。
背中を太ももを腕を。
ミスタービーンズを。
多くの場合はミスタービーンズを。
そして多くの場合は尻で、尻でNYを弄ぶ。
だが、永遠を感じる事は出来ない。
りょうは飽きたように、突然動きを止める。
吐息の漏れる声で俺に言った。
『こっち…』
りょうは俺の手を掴むとバスルームへと向かった。
バスルームには入らず、脱衣所辺りで立ち止まるりょう。
そして俺の後ろへと回り込む。
弄ぶ。
そしてまた弄ぶ。
知らなかった。
知らなかったんだ。
洗面所にあんな大きな鏡があるなんて。
いや、知っていたよ。
確かに知っていた。
だが、忘れてた。
忘れていたよ。
経験が教えてくれない時もある。
鏡は俺に屈辱を与える為だけの彼女の味方だ。
『どう、見えてるよ。恥ずかしいね?』
大きな鏡に映る小さな俺のNY。
まざまざと見せ付けられる。
惨い。
むごすぎるその光景に俺は思わず目を背ける。
何故かは分からない、願いが通じたのか?
すかさずりょうは俺との位置を変えた。
優しさ?彼女にもまだ残っていた人間の心。
今更そんな事はどうでも良かった。
いつの間にか置かれていた洗面台の薬品。
見覚えがある。
これは…ローション。
気づけば蛇口からお湯まで出ていたようだ。
湯気が立ち上っている。
恐らくはりょうの仕業だろう。
俺の目を盗んでこの程度の動作、彼女には目を瞑っても出来る造作もない事。
だが実際、目を瞑っていたのはほとんど私だった。
りょうは俺を洗面台に押し付ける。
この時の俺に抵抗する力は殆ど残っていなかった。
陶器で出来た無機質な洗面台の白い冷たさが俺を冷静にさせる。
俺はりょうと洗面台の間に囚われる。
囚人でもこの刑罰は御免こうむるだろう。
“プシュッ”
聞き覚えのある音が耳に入る。
―マヨネーズだ!そうだマヨネーズを出す時に空気が入っていてそれが出た時の音だ!―
経験が告げる。
どうやらりょうは、ローションと言う名の毒薬をとうとう俺に使うらしい。
俺は心の中で決意した。
すでに生用心棒はぬるぬるだ。
今さらどうと言う事はない。
受けて立つ。

続く。

俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~第十八話

ベッドから立ち上がった俺に、待ち構えていたさらに過酷な運命。
それほどの責を俺は追うのか?
自問。
否、そんなはずはない。
自答。
都合の良い自分への言い訳だった。
りょうの手は相変わらず休まる事は決してなかった。
取り付かれたように、優しく時に激しく。
舌を使い、手を使い、そして恐らくは腰をくねらせ全身を使い。
そして俺に背後から語りかける。
『自分でパンツを脱いで。ゆっくり下ろしてね。』
俺に何もかもを捨て去れとこの女は言う。
夜。
孤独。
それだけで俺は何もかもを失ったと思っていた。
経験が告げて教えてくれた。
しかしりょうは違った。
彼女だけは違ったのかも知れない。
俺自身も知りえない、隠された感情を見つけ出しては彼女は捨て去れと言う。
すでに俺は、依頼を受けてしまった事に後悔を感じ始めていた。
つくづく自分の性格が嫌になる。
人に借りを作らず、常に優位に。回収する側へ。
だが実際はどうだろうか?俺には分からない。
考えるのを諦める。
俺は自分の下着に手を掛けた。
その瞬間。ふと俺が振り返った、その時。
りょうはおもむろに自分の背へと手を回すと、上半身唯一の守り。
俺に立ち塞がる連なる火山を、溶岩を自らの手で取り去った。
そこには二峰の雪山が姿を現す。
露になる乳房。
たゆん、たゆん。
十八禁の卑猥な漫画であればこう表現される擬音。
ルージュのように赤い乳頭。
立っている。
彼女も、りょうも俺と同じだった。
程好い大きさで、赤ん坊に独占はさせられないほどにしゃぶりたくなる。
そして形の良い、大きな。
大きな胸。これが胸。これぞ胸。
これこそが女の胸。
夢の女を思い起こされる。
―ここでも俺は遅れを取るのか?―
俺は手にかけたCalvin Kleinを素早くずり下ろした。
足を使い、完全な俺へと。
りょうはそっと俺の前へ回り、IKEAのバスタオルより癒しをあたえるように俺を抱きしめる。
かと思うと離れる。
俺のミスタービーンズと自分のミスビーンズをお見合いさせる。
掴まれた二の腕から、りょうの手の温度が伝わる。
さようならの様にりょうは後ろを向く。
そしてホックを外してスカートを床に落とす。
そして尻を、尻を、尻を!
AでもないZでもない。
無論HではあるがHではない。
俺は確かに見た。
見間違える筈がない。
彼女はアルファベット部隊二十番目の刺客。
そう…。
Tバックを着用していた。
その極小布面積しかないブラジャーとお揃いの赤のTバックを履いていた。
尻ホッペが完全に露出されていた。無防備な尻ホッペを俺の、俺の、事もあろうか俺の生用心棒に押し付ける。
冷やりと、冷たい感触が股間に伝わる。
しっとりと濡れているかのように錯覚する。
いや、濡れているのは生用心棒の汗のせいだった。
今更だが、経験がそう告げていた。

続く。

俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~第十七話

りょうの攻めはさらに激しさを増す。
俺は両手をあげるように促される。
―こいつ!シャツやズボンのボタンだけじゃ飽き足らずにヒートテックまでその手に掛けて殺めるつもりか!―
だが俺はあえて相手の策略に従う。
素直に両手を上げた。
スルスルとシャツは、りょうの手によって俺の腹、胸、腕を伝ってまくし上げられていく。
しかし顔を覆うほどにたくし上げられた時に事件は起こった。
突然の停止。
りょうは急にヒートテックを脱がすのを止めた。
『見えないのって興奮するでしょ?』
そう言って、なんと自分の舌で汗ばんだ俺の背中を愛撫し始めたのだ。
―チッ!ここで視界に加え、両手の自由まで奪われるとは。俺もとうとうヤキが回ったか?―
なおもりょうの猛攻は続く。
『くすぐったい?』
そう言いながらもりょうは腰あたりから首筋まで丹念に俺の背中を舐め上げていく。
『いや、あっ、あっ、気持ちいいです。』
りょうの攻めが止むことは決してない。
彼女の攻めが雨ならば、世界中の飢饉問題、干ばつは全て解決されるだろう。
『乳首も気持ちいい?』
ここまでくれば…えーいままよ。
経験が告げる。
俺は流れに身を任せる。
『ハイ。』
良い返事だ。
ピッカピカの一年生にも決して負けてはいないつもりだ。
りょうは左手で俺のヒートテックを使い自由を奪いつつ、回り込むように俺の乳首を舐める。
チロチロ。
チロチロ。
まるでそんな音が聞こえそうなほどに。
レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ。
と、漫画や文章ならこう描くべき高速の舌遣いを織り交ぜる。
何分かその攻めは続いたのだろうか?
あっと言う間でもあり、永遠でもある時間。
見えている俺の上半身は全てりょうの唾液で大海に変わっていた気がした。
りょうはようやく脱がせかけたヒートテックを俺の体から切り離した。
―しばしのお別れだ、ヒートテック。なぁに、またきっとどこかで会えるさ―
俺が別れの余韻に浸っている間にりょうはいつの間にか黒のハイネックニットを脱いでいた。
格闘技ならバックを取られたら終わりだ。
それはこのウインナースポーツとて同じ事が言える。
りょうは俺をその場に立たせる。
すでに正門は開いている。
今の彼女なら城内に侵入することは容易いだろう。
おれのズボンはいとも簡単に、彼女が手を下すまでもなく。
ただ、チャックと言っても外国人の名前ではない。
ジッパーの事だ。
そのチャックをりょうが下ろした。
立ち上がった瞬間にズボンは無残にも床へとずり落ちた。
いよいよ俺は下着一丁。
そう、大事なものは必ず守る。
仲間の死で涙に濡れたCalvin Kleinだけが俺を守ってくれていた。

続く

俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~第十六話

りょうの手は首元から、俺の胸へ蛇のように絡みついてきた。
そのまま優しくシャツの上から俺のミスタービーンズに弧を描くように触れる。
そっと顔を近づけて言った。
『今日はどんな風にされたいの?』
りょうの生温かい、だが心地よい吐息が俺の耳を撫でる。
俺は突然の出来事に戸惑いながらも答えた。
『えっ、えっ、いやっ。色々、なんかして貰えたらって思ってます。』
りょうの顔は見えなくても魔性の微笑が脳裏に映る。
経験がそう告げた。
『可愛いわね。じゃあ色々しようね。』
そう言いながらりょうは俺のシャツのボタンに手を掛ける。
一つ一つ上から順番にボタンという名のカップルを、事も無げに別れさせていく。
りょうの馴れた手つきにはどんな結婚相談所だって太刀打ち出来ない。
そしてあれよと言う間に俺のシャツが完全にはだける。
りょうが優しく俺に問いかける。
『気持ち良い?』
俺はもちろんしっかりとその言葉に答えてやる。
『は、はひぃいい』
このままでは完全にりょうと言う名の巨大な陰謀に飲み込まれちまいそうだ。
だが、俺にはまだヒートテックと言う牙城が残されている。
ここからが真の意味でりょうのお手並みを拝見といこう。
りょうの手は休む事無く、それでいてゆっくりと俺の体の感触を、温度を楽しんでいる。
そしてズボンのボタンにも手を掛ける。
ジーンズのボタン。
それはシャツのようにおいそれとはいかないはずだ。
経験が俺にそう告げてくれる。
リベットボタンと呼ばれる真鍮製の鎧を着たナイトが俺の正門を警護しているはずだ。
しかしおかしい。
ズボンにはベルトが付き物のはず?

■説明しよう!!
白川は急いで家を出た為、いつもならば絶対にしているベルトをしていなかったのだ!!

―そうか、そう言う事だったのか!―
話は戻る。
りょうは俺が脳内で一人会話を楽しんでいる間に、すでにナイトを打ち負かしていた様だった。
そしてもう一度耳元で囁く。
『ふふっ。少し大きくなってるね』
甘い、甘すぎる。
ちょろい、ちょろ過ぎる。
これだから女は。
女ってやつは。
りょうはここに来てから今まで、俺をリードして来たつもりだろうがそうはイカの金玉だった。
りょうはひとつ大きなミスを犯した。
いや読み間違いとも言うべきか。
この時おれの自身の生用心棒はすでに怒り、そして猛り狂っていた。
そう、完全にフル勃起だった。
そしてそうはイカの金玉だけに、イカ臭い生用心棒の汗も噴出し始めていた。
そう、カウパーだ。
経験だけがそう告げていた。

続く。