この季節になると呑みたくなる。もう15年位前だろうか。当時会社が浅草にあり、近くの酒場で出会った上善如水、はじめて惚れた日本酒。フルーティーで果実酒のような味わい。それでいてしつこくなくさらっと舌を流すような、ほどよい軽さでこんな日本酒があるのかと当時驚いた記憶がある。やはり冷酒の方が好きだったのはまだガキだったからなのか。それから私は日本酒にはまり、八海山、久保田、等のメジャーな銘柄から幻の銘酒と言われるものまで片っ端から呑みまくった。やはり原材料は米と米こうじだけのもの、そう純米酒といわれるものがいい。日本各所の味を気軽に楽しめる、食事の産地と合わせて酒を選んだり、また原料が米であるため和洋中どんな料理にも合う、存在自体が風情もあり、楽しいとき、悲しいとき、めでたい時その場に応じてその場を演出してくれる。しんみり1人酒もまたいい。お気に入りの銘柄を探すのも楽しみの1つだ。理想の酒と出会った時は運命の人と出会ったような、そんな嬉しさがある。私はとりわけ新潟の酒、越乃景虎が気に入っていた。新潟の血が半分流れているからだろうか。妙に新潟の酒が合うのである。ただ、歳を重ねるごとに私は日本酒から離れていった。理由は何度も私から理性、知性、そして明日をも奪ったのである。あまりの副作用に残念ながら日本酒とは距離を置くことにした。その後焼酎ブームが来るのだが、その時に運命の酒と出会うのである。そう米焼酎、鳥飼。日本酒のような味わいと焼酎の呑みやすさ、まるで澄み切った山奥の清水のような理想的な酒である。こんな文章を氷結片手に書いてるどうしようもない高橋でした。