俺の風俗体験記 ~白川PartⅠ~第十四話

十九歳、夏。
扇風機の音と息遣いだけが聞こえる。
そこは以前働いていた職場の寮だった。
汗ばむ二人が居る。
俺ともう一人は女だ。
女は俺に卑猥な格好をさせて、俺のアナルへと指を突っ込んでいた。
『ねぇ、簡単に入ったよ。』
今でも鮮明に覚えている。
俺にはそうなるべく素質が備わって居たようだ。
『ねぇ、この乾電池入れてみてもいい?』
『わぁ、乾電池も入るよ』
『ねぇ、どんな感じ?気持ちいい?』
俯瞰で見る俺は恍惚の表情を浮かべている。
『もういいって、もういいって、何か出そう。うんこかも知れない』
俺は無駄な抵抗を試みている。
彼女には通じない。
『すごい勃起してるよ。気持ち良いんでしょう?』
俺は抵抗を続ける。
本当は続けてほしかったのか?俺には分からない。
『本当にうんこ漏らしそう。もう止めろ』
『大丈夫、何も出ないよ。』
彼女は本当に楽しそうな声をしていた。
フラッシュバック。
『もう止めよう。』
『私やっと好きな人が出来たの。』
『お願い別れて欲しい。』
『どきどきメモリアルに夢中だと本当に周りが見えないね』
『恋愛ゲーム一筋ね』
『何がコンプリートよ!』
『何がりょうちゃんを落とせば最後よ!』
『いつまでたっても落とせないじゃない!』
『そういう所が嫌いだった…』
『そもそも付き合ってないじゃない。』
『じゃあね。バイバイ。』

俺は一筋の汗と共に目を開けた。
現実が飛び込んでくる。
薄暗いホテルの一室。
今すぐブラックコーヒーを飲みたい気分だ。
ただブラックコーヒーなど本当は必要ない。
それよりも苦いリアルが俺の置かれた現状だからだ。
それに…。
そもそもミルクがないとコーヒーは飲めない。
経験がそう告げていた。
俺はもう一度ペンを取り、アンケートの続きを書き終えるとポケットに突っ込んだ。
携帯を手に取ると【痴女りたい】に電話をした。
先程の受付の男が電話に出る。
俺はホテル名と部屋番号を告げた。
『ホテルマハラジャに入ったでゲス。207号室によろしくでゲス。りょうちゃんがくれば嬉しいでゲス。』
それだけ言うと俺は電話を切った。

続く